京都大学文学部・大学院文学研究科による、人文社会学の学びの場を社会にそして世界に拡げる試み。それが「京都で学ぶ人文学」です。

京大文学部は、1906 年に、19 世紀ドイツで培われた研究大学の理念を取り入れて創立された教育・研究機関です。この学部の創設は、メイド・イン・ジャーマニーのシステムを異なった社会や文化に移植する試みとしては、世界的に見ても極めて初期の事例に属し、人文学の分野に限れば非西洋圏では世界初の挑戦でした。

このように一種の知的実験として始まった京大文学部における人文学の営みは、やがて大きな成果をあげ、哲学や東洋学をはじめとする様々な分野で、「京都学派」と呼ばれる知の一大山脈が築かれることになります。これら京大文学部の百年の学的蓄積は、非西洋語で展開された近代人文社会学の一つの範例として、いまや全人類共有の知的財産となり、それ自体が世界中で研究の対象となっています。

この京大人文学の知的伝統を、二重の意味で「大学の外」に開くことこそ「京都で学ぶ人文学」のミッションです。

これまで京大文学部で学んできた学生・院生の多くは、20 代を中心とする現役の学生世代の人たちでした。「京都で学ぶ人文学」は、その学びの主体を、その上下の世代に開くことを目指し、具体的には中高生や社会人を対象とした様々な学びの場を提供していきます。

加えて「京都で学ぶ人文学」では、英語で京大人文学を学べる機会を積極的に展開していきます。そのことで、これまで主として日本語で蓄積されてきた知の成果をアジアの、そして世界の人々に開くことが目指されています。